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    ルナリデーカン・イフリート・38の日に

     ──ND2020 ルナリデーカン・イフリート・38の日──



    【人物】 ピオニー
         ジェイド
    【場所】 グランコクマ宮殿 ピオニーの私室





    「お、やっと顔を見せにきてくれたかジェイド」

    「申し訳ありません。どなたかが私を昇進させてしまったせいで、余計な雑事が増えてしまいましてね。暫くはレプリカ問題に集中したいと申し上げていたはずですが」

    「なんだ。お前が自分で動かずとも人も物資も顎で使える立場にしてやったというのに。結局のところ自分が現場に出て仕切らないと気が済まんのだからなァお前は。身の安全も少しは考えろ、と言ってもきかんのだろうが。……あまり無茶はするなよ」

    「お気遣い痛み入ります」

    「ともあれ今日はゆっくりしていけ。気楽に話ができる相手が少なくて俺も溜まっているのだ」

    「ありがとうございます。フフ……陛下もそろそろ本気で世継ぎの心配をなさった方がよろしいかと。そうすれば自然と話し相手の問題は解決します」

    「ふん、いらぬ世話だ。レプリカ保護策の報告は受けているが当面は順調に進んでいるようだな」

    「そうですね。問題がないわけではありませんが、予想したよりは順調にいっています。彼らを作り出したのはヴァンやモース達ですが、そもヴァンをレプリカ計画に走らせた元凶は私にありますしねぇ。それなりに責任は感じているんです」

    「あー、ジェイド。またお前は、」

    「心配は無用ですよ、ピオニー。今更の話です。自分が死んで責任を取ろうなどと甘いことは考えてませんから。それを考え始めたら私の命など幾つあっても足りはしません」

    「心しておけ、近くお前には強制休暇を与えてやる。──ヴァンか。そういえば、そのうちお前の考えをきいてみたいと思っていた。調書は一通り読んだし、ガイラルディアからも彼の人となりは聞いたのだが……どうにも腑に落ちないというか矛盾の多い男に感じてな」

    「矛盾?」

    「やつがレプリカ計画の完遂を真に望んでいたか疑問だってことさ。聞けば妹思いのいい兄貴だったというじゃないか。ルークやアッシュにとっては敬愛できる師匠でガイラルディアも彼のことを慕っていたようだ。子供の信頼を得るのは存外難しいぞ。特にあいつらのような感じやすい子たちはな。まあ、最愛の妹を失くしたその復讐のため、というなら解らんでもないのだが」

    「ティアは生きていますよ」

    「そこだよ。そんな情に篤い男が、自分が手塩にかけて育てた大切な妹を殺してまでレプリカでできた世界を望むか? 俺にはそれがどうにも納得いかんのだ」

    「彼の最終目的はスコアの消滅でした。私はヴァンの考えには一理あったと思っています。彼が世界を混乱に陥れなければ、スコア通りに人類が滅亡への道を進んでいた可能性は否定できません。惑星預言が外れるなんて話は聞いたことがありませんしねぇ。結果だけをみれば、ヴァンの暴挙があったからこそ、未来はスコアの示した道筋から外れたともいえます」

    「否定はしきれんな。お前たちの尽力があったとはいえ、目に見える脅威としてヴァンを止める必要がなかったら三国同盟もできたかどうか怪しいものだしなァ」

    「何の危機感も抱かず屠殺場へ引かれるブウサギのように大人しくスコアに従っていたなら、マルクトとキムラスカは戦乱に陥り……ああ、今頃貴方は死んでいますねピオニー。グランコクマには疫病が蔓延し死体が山積みとなっていたはずです」

    「おいおい、縁起でもない話をするな」

    「パッセージリングの寿命が尽きるのと同時に外殻大地は順次崩落。障気を消すことのできる力を持つ唯一の存在だったルークはアクゼリュスで死に不在。マルクト滅亡によって他国を全て平らげたキムラスカは、まあ世界制覇を成し遂げたという意味では未曾有の繁栄といえなくもないですかね。そのキムラスカも疫病と障気に塗れて汚泥の中に沈んでいく。それで人類は終わりです」

    「うーん全く笑い事ではないぞ。まるで見てきたようにいうんじゃない。寒気がしてくる」

    「小皺が増えますよ、ピオニー。これは夢物語ではなく、実際に起こり得た可能性の一つです。第七譜石には人類の滅亡が詠まれていました。ユリアの血筋に連なるフェンデ家の長子だったヴァンがクローズドスコアを目にしていたとしても何ら不思議はありません。恐らく彼は早くから知っていたのでしょう。スコアの支配から解放されない限り、いずれにしてもオールドラントに生きる人々に未来はないと」

    「俺たちはヴァンに救われたということか」

    「想像ですがね。……ヴァンはスコアを憎みながらスコアは外れないと信じていました。我々は自分たちの行動によって未来は変えられると信じていましたが、ヴァンはそれを甘いと考えていた。その程度の誤差などユリアのスコアはものともしないとね。ひょっとしたら彼が正しかったのかもしれません。スコアに関しては、彼自身スコアに翻弄された経験を持ち、フェンデ家の出身で教団に所属し導師とも交流のあったヴァンの方が詳しいと思われますから。──故に彼は賭けにでた。少なくとも座して滅びを待つことだけは避けたかったのでしょう。スコア通りに疫病と障気にまみれて滅亡するくらいならレプリカ世界の方がマシだと思えたんですよ。……わかる気もしますがね」

    「そっくりレプリカになった世界がか? 俺には理解できんぞ?」

    「そう思うのはオリジナルの自分です。レプリカの自分はなんとも思わず新しい世界で生きていくでしょうよ。ディストはまだ記憶の転写までは成功していなかったようでしたが、もしそこまで可能となっていたならより完璧でした。神の視点から見れば人々は何の変わりもなくこれまでと同じように存在し続ける。スコアから解放された世界でね」

    「やっぱり分からん。例え全く同じ身体と記憶を持っていたとしても、レプリカはレプリカ。俺は俺だ。俺自身が死んでしまっては俺にとっては意味がない」

    「それでいいんですよ、ピオニー。そう貴方に諭されるまで、ネビリム先生を蘇らせようとレプリカ研究に邁進していた頃の私は、むしろヴァンやサフィールの心境に近かったのです。レプリカがオリジナルの代用になると信じて、もう一度先生に笑いかけてもらえる日を夢みていました」

    「ジェイド、お前……」

    「貴方に殴られて私は目が覚めた。もしネビリム先生の身体と記憶を完璧に再現できたとしても、それは私を庇って死んでしまった「あの」先生ではない。先生が死んでしまった事実を消すことは絶対にできない。その真実に気づくまで10年かかりましたけどね。ヴァンやホドの件も含めて、その10年間に自分がやらかした事を思えば返す言葉もありません」

    「罪というなら俺も他人のことはとやかくいえん。国を守るという大義のために兵士らを戦場に送り出したのも、民のためルークに1万人のレプリカと一緒に死ねと言ったのもこの俺だからな。皇帝なんぞ因果な商売だ」

    「貴方が皇帝の座にあることで、救われている人間も多くいるのですよピオニー」

    「そうありたいとは思うがな。──もしヴァンが、一人でも多くの人間を救うためにどんな犠牲を払ってもスコアを変えるための手を打つべきだと考えたのだとすれば、動機としては理解できなくもないが……」

    「もっと穏便なやり方はなかったのかと?」

    「まあな。だがお前の想像通りならそれでは手緩いとヴァンは考えたのだろう。ユリアのスコアを実現させないためには大地の崩落や障気、大量のレプリカぐらいのインパクトが必要だとな」

    「今思えば、ヴァンは手を緩めていたようにも思えますね。本気でレプリカ計画を完遂するつもりなら、手段を選ばなければ、彼はもっと早い段階でアッシュやルークを完全に掌握できたはずです。離反した後は必要とあれば殺すことも。だが、彼はそれをしなかった」

    「あいつらが予想外に手強かっただけかもしれんがな。その考えでいけばヴァンはスコアの消滅は望んでいたがレプリカ計画はその手段としただけでオリジナルの消滅までは望んでいなかったと?」

    「あるいはその両方を望んでいたのかもしれません。スコアを盲信する愚かな旧世界、オリジナルの消滅と、生存を……ティアの幸せを願う矛盾した願いをね」

    「だとすれば報われない話だな。誰ひとりやつの真実を知ることなく、ヴァンの名は悪名として残る。スコアに毒された世界を憎むあまりオリジナルを否定してレプリカ世界を夢みた、狂った譜術士としてな」

    「ヴァン自身、自分の罪が許されるとは思っていないと思いますよ。彼は最期に同志たちへ許しを願っていました。それが、レプリカ計画を全うできなかったことへの謝罪なのか、スコアを破壊するため不名誉な死への道連れにしたことへの謝罪なのか。今となっては彼の真意は知りようもありませんが」

    「──真相はどうあれ、俺たちにできることはひとつだ。いつか俺たちの音素が音譜帯に還った時、死んだ人間に会うことがあるかどうかは知らんが、相変わらずスコアに支配されレプリカとの共存もままならんという体たらくでは死んでいったやつらに顔向けできないからな」

    「ですね」

    「……ジェイド。お前宛てにキムラスカから招待状がきている。来月のレム・48の日にルークの成人の儀を執り行うそうだ」

    「そうですか……申し訳ありませんが、辞退させていただくとお伝え願えませんか。ご厚意には深く感謝申し上げますと。その日は別に行くところがありますので」

    「──そうか。伝えておこう」

    「強制休暇とやらは有難くいただきますよ。来月のレム・48の日に合わせていただければ助かります」

    「ハハハ、よしわかった。馴染みの顔をみかけたら、俺の方からもよろしく伝えておいてくれ」

    「はいはい承知していますよ。ありがとうございます、陛下」




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